関西中学受験 信頼出来るデータ偏差値とは?

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ひですけ

世の中では、中学受験に関する様々なデータが溢れていますが、どのデータを参考にすべきかどうか、整理したいと思います

SNSでは、様々なデータ(法則)が溢れていますが、良く見ると信憑性があるかどうか怪しいデータが満載です。
今回、この記事を書くキッカケとなったのは、下記ツイートです。

まず、先に結論を申し上げますと、そんな因果関係があるわけがないという事です。

この法則を信じている方には、”冷静に自分の頭で物事を考えたほうが良いし、こんな迷信を信じるようだったら、それこそ今後思い込みでミスリードする可能性が高いですよ”、と言いたいです。

順を追って説明していきたい思います。

目次

中学受験で根拠のあるデータとは?

中学受験で世間的に一番拠り所とされているデータ、は何でしょう?

それは、「偏差値」です。

偏差値について


まずは、偏差値の定義について整理しましょう。

偏差値は、試験やテストの結果を相対的に評価するための指標の一つです。偏差値は、得点が平均からどれだけ離れているかを示す数値で、全体の中での自分の位置を知るのに役立ちます

以下は偏差値の基本的な計算方法です:

  1. 平均点:まず、全員の得点の平均を計算します。
  2. 標準偏差:得点のばらつきの程度を示す標準偏差を計算します。
  3. 偏差値の計算:個々の得点が平均からどれだけ離れているかを標準偏差で割り、さらに50を加えた値が偏差値です。

具体的な計算式は次の通りです:

偏差値=50+(個人の得点−平均点)標準偏差×10偏差値=50+標準偏差(個人の得点−平均点)​×10

例を挙げて説明します。

あるテストで、以下のような得点分布があったとします:

  • 平均点:70点
  • 標準偏差:10点
  • あなたの得点:85点

この場合、偏差値は次のように計算されます:

  1. 個人の得点(85点)と平均点(70点)の差を求めます:85 – 70 = 15
  2. この差を標準偏差(10点)で割ります:15 / 10 = 1.5
  3. これに10をかけます:1.5 × 10 = 15
  4. 最後に50を足します:50 + 15 = 65

したがって、この場合の偏差値は65です。

偏差値は通常、50が平均で、60以上であれば優れているとされ、40以下であれば改善が必要とされる基準となります。これにより、自分の得点が全体の中でどの位置にあるのかを理解しやすくなります。

中学受験において偏差値は重要且つ信頼出来る指標

偏差値そのものは、中学受験においては、かなり信頼出来る指標です。

大規模な受験データ

中学受験向けの大手塾では、定期的に全国テストが開催され、多くの受験生が同じテストを受けるため、偏差値の計算に用いるデータが非常に豊富です。これにより、平均点や標準偏差が正確に計算されやすくなります

統一されたテスト

加えて大手のテストでは、同じ問題が同じ形式で出題されるため、試験の条件が統一されています。これにより、得点のばらつきが標準化され、偏差値が信頼できるものになります

③ テストの実績と、受験結果を紐付けデータが豊富

膨大な実績データを分析した結果、テストの結果と実際の入試結果の相関が高いことが確認された場合、偏差値は受験生の実力を測る信頼性の高い指標となります

正直、私自身は、当初この”偏差値”という数値をどこまで当てにして良いのか、少し懐疑的でした。しかし、大手塾で開催される入試分析結果報告会の資料等に目を通すと、不思議な事に例外は想像以上に少ないわけです。要は定期テストの結果弾き出せれた受験生の偏差値と、学校の偏差値を比べ、偏差値が達していなければ、実際落ちている割合が高いですし、達していなければ、受かっている割合が高い、という結果に実際になっているわけです

なので、私の中では、偏差値自体は信憑性のある拠り所のあるデータである、と判断しています。

ツイートで述べられている法則がおかしいと思う理由

先程、偏差値が非常に信憑性のあるデータと述べた上で、

話を最初に戻して、冒頭で触れた問題の下記ツイートです。

母親の高校偏差値が55を下回っていた場合、
子供の大学偏差値は高くなりにくいということがわかりました。

先程の話の通りであれば、偏差値をベースにした統計であれば、信憑性があるのでは?と思われた方もいるかもしれませんが、上記は色々と問題を抱えています。順に説明します。

母集団が違う偏差値を比べる事がそもそもおかしい

偏差値は相対的な評価基準であり、特定の集団内での位置を示すもの、というのが前提です。
なので、母親の高校の偏差値と子供の大学の偏差値を直接比較することは、異なる集団や基準のもとでの評価を比較することになり、偏差値の定義上、正確な評価とは言えません

「母親の高校偏差値:55」の正確性が低過ぎる

前提である「母親の高校偏差値:55」があまりに不正確です。偏差値は中学受験の大手塾のように同じ一定の条件下で皆同じテスト受けて算出すれば、正確だと言えますが、母親の高校偏差値はそのような前提で算出されていません(というか出来ません)
また、関西で中学受験をされる方ならご存知だと思いますが、例えば浜学園と他の大手塾では偏差値の定義値がかなり違います。要は母集団によって偏差値は普通にブレるという事です

また、全国視点で見た時に、住んでいる地域も異なれば、時代も母親の年齢によって、10年前〜30年前と幅も広く、偏差値を出す上で、インプット要素があまりにバラバラ過ぎます。そのように前提条件がブレブレにも関わらず、偏差値55という細かい数字を出している根拠が不明です。母集団を合わせた一律の高校偏差値を定義する事は不可能です。

そもそも偏差値で高校を選択していないケースも普通にある

100歩譲って、全国民が、進学する高校を、学力(偏差値)のみで決定している、という事であれば、少しは信頼性があるかもしれませんが、これも現実そんな事なんてありません。
“家に近い”、”兄が通っている”、”部活のため”、”学費が安い”、”校舎が凄い綺麗”、”手に職を付けたい”など、偏差値だけではない様々な要因によって高校を決めているわけで、全国民が皆”頭の良さ”だけで高校を決めているわけではない事から、単純に高校偏差値がその人の賢さ等を証明するモノとは言えません。

また、関東関西の都市部に住み、学力に応じて偏差値が細かく細分化されている地域と、学校数の少ない地方とでは、学校に対する偏差値の粒度・細かさが全く違います。例えば地方の学校では、偏差値50の学校でも、都市部で言うところの偏差値60学校レベルの生徒が普通に混じっているケースがあります。地方は受け皿となる学校が少ないので、生徒の実際の偏差値レベルの幅も広いわけで、これだと都市部と比べ、学校の偏差値が正確に算出出来ません。

現に、私が通った九州の私立の中高一貫校は、中学受験時の偏差値50と言われており(当時は偏差値すら意識していませんでしたが)、高3時の生徒数が確か115名ぐらいと少数でしたが、東大に4名合格、という実績でした。関西の私立中高一貫校で、115名程度で東大もしくは京大に4人も受かるなんて普通あり得ません。このように、都市部と地方で学校の偏差値が同じだからといって、最後の結果も同じとは限らないわけです。

「母親の偏差値」以外に、影響を与え得る他要因が多過ぎる

まず、冷静に考えてみてください。
「母親の偏差値」が子どもの大学進学実績に一番影響を与えている真因だと本当に思いますか?
そんなわけないでしょ。他にもっとありますよ。父親の年収であったり、親の性格の問題、離婚の有無であったり、地域的に大学進学しない(漁業など)など、様々な複合的な要因が絡み合うのが当然で、どれか一つ(母親の偏差値)で決まるモノではありません

「相関関係」と「因果関係」は全くの別物

母親の高校偏差値が55を下回っていた場合、子供の大学偏差値は高くなりにくい、という法則に対し、仮にインプットデータが矛盾してないと仮定したとしても、これは相関関係であって、因果関係はありません

上記ツイート内にも同様の例で回答しましたが、これは統計を取ったら、そういう傾向になった、というだけで、直接的な要因では無いという事です。
例を言うと、
統計を取ったら、阪神ファンのほうが巨人ファンより大学偏差値が高くなりにくい、という結果が出たとして、
じゃあ阪神ファンから巨人ファンに変われば大学偏差値が高くなると思いますか?
99.9%人はNoと言うと思います。何故ならこれは結果的な相関関係であって、因果関係ではないからです。

大袈裟かもしれませんが、私から見ると、今回のツイートは、この上記例とほぼ同じような事を言ってると思っています。

皆様も、中学受験の際は、ちゃんと根拠がある確かなデータを参考にしましょう。

まとめ
  • 「偏差値」は、条件を満たせば、非常に信憑性のあるデータ
  • 「偏差値」は、条件を満たせなければ、信憑性の無いデータ
  • 「相関関係」(偶然) と、「因果関係」(必然) の違いを理解すること
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